英語ビジネスレベル最短への道 海外移住・海外就職ブログ

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存在意義が問われる旅行業者

今は業界を離れましたが、僕は約15年に渡り旅行業界で働いてきました。

 

今日は僕が旅行業界について思うことや、

業界を離れた理由についてお話ししたいと思います。

 

旅行業界関連の記事を以前にいくつか挙げていますので、

そちらも合わせてご覧ください。

 

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縮小する旧来型旅行会社

 

僕の家の最寄のショッピングセンターには、

旅行業者が3つテナントとして入っていました(日系ではない)。

 

しかも、その3つともカナダでは大手と呼ばれる旅行業者です。

 

その3つの旅行会社のうち現在も存続しているのは1社だけです。

 

残りの2社は撤退(支店閉鎖)しました。

 

もう今の時代、店舗を構えるスタイルの旅行会社はコストがかかりすぎて、

なかなか採算をとるのが難しいのでしょう。

 

世の中はインターネットが当たり前の時代。

 

僕がシンガポールで働いていたとき、

シンガポールは時代の最先端を行っていました。

 

日本にまだLCCが正式導入される前から、

LCCがメインストリーム化していました。

 

 LCCについてはこちらの記事で言及してます。

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店舗型の旅行会社もありましたが、

ほとんどの会社はインターネットを中心としたビジネスを展開していました。

 

一方の日系旅行会社はというと...。

 

以前としてアナログな手法に依存した販売が中心でした。

 

僕は業界ではかなり大手の旅行会社の現地法人で働いていました。

 

インターネットビジネスに注力するだけの人員や資金があるにもかかわらず、

フットワークは重く昔ながらのスタイルから変化する兆しはありませんでした。

 

現地法人も日本からの顧客の手配業務がほぼ100%。

 

つまり、日本側のビジネスが落ち込めば共倒れになるということです。

 

僕は当時のボスに「早くインターネットを導入すべきだし、現地法人側だけで利益を生む仕組みを構築すべきだ」と提案しました。

 

ただ、大手企業は本社からの承諾を得る必要があるため、

現地法人の一社員の嘆願など届くわけもありません。

 

結局、現地在住者向けのネット販売をやらせてもらえることになったのですが、

かなり後発だったため順風満帆には行きませんでした。

 

そこで発想を変えて、シンガポール在住者に旅行を販売するのではなく、

周辺諸国に住む在外邦人のシンガポール旅行の手配業務にシフトしました。

 

タイやフィリピンなどの旅行業者に営業をかけ、

少しずつ仕事がもらえるようになりました。

 

ただ、僕一人でやっていた業務だったので社内からの風当たりは冷たかったです。

 

「仕事が増えるから余計なことをするな」

 

ローカルスタッフからそう言われたこともあります。

 

その後、労働ビザの期間満了とともに僕はシンガポールを去りました。

 

カナダで働くようになってから当時の同僚に連絡してみたところ、

僕が少しずつ構築しつつあった周辺諸国からのビジネスはやめてしまったらしいです。

 

僕はいくつかの日系旅行会社の現地法人で働いたことがあります。

 

歴史の古い会社ほどフットワークが重く、

変化を嫌う傾向が非常に強かったです。

 

HISが業界では後発にも関わらず、

時代の寵児となることができたのは、

どこよりもフットワークが軽かったからです。

 

いち早くインターネット販売を導入し、

現地法人も日本からのビジネスだけに依存せず、

現地側だけで利益を出せる仕組みを構築していました。

 

僕がベトナムで働いていた当時、

HISの支店は3つしかありませんでした(それでもかなりすごいのですが)。

 

詳しくは知りませんが、今は20近くもの支店があるようです。

 

そこまでビジネス拡大したのも現地人に対しての旅行販売を始めたからです。

現地在住日本人だけでなく、ベトナム人を対象とした旅行販売です。

 

大手旅行会社の現地法人は、日本の本社の手配オフィスと化している場合が多いですが、HISは現地法人も一つの旅行会社として成立するようなビジネス展開をしていたのです。

 

旅行業者の存在意義

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昔は旅行に行くためには旅行会社を利用する必要がありました。

 

個人が旅行を手配できる仕組みがなかったからです。

 

今はインターネットがあるので、

旅行会社を通さずともすべて自分で手配することができます。

 

ホテル、航空券、アクティビティ(オプショナルツアー)など、

それぞれの専門サイトがあります。

 

ネットが普及する以前は情報を入手するすべもなかったので、

旅行会社を訪れ話を聞く必要がありました。

 

でも、今の時代はインターネットを使えばほとんどの情報は手に入ります。

 

しかも、タダで。

 

わざわざ時間を作って旅行会社を訪れる必要もないわけです。

 

旅行会社の窓口スタッフは世界中の旅行を取り扱わないといけないため、

方面によってはほとんど知識がない場合もあります。

 

ネットで調べたほうがよっぽど有益な情報が手に入るのであれば、

旅行会社を訪れて情報を入手する意味もありません。

 

予約の自動化

これは旅行業に限ったことではありませんが、

今現在好調なビジネスはインターネットをベースとしたビジネスばかりです。

 

製造業が伸び悩んでいるのは、物が売れない時代になったのに加え、

人件費がかかったり在庫を抱えるリスクがあるからです。

 

でもインターネットはそういったコストがほぼありません。

 

世界を牛耳るGAFA(※)もすべてネットをベースとした企業です。

 

Google,Apple,Facebook,Amazonのこと。

 

わかりやすいのでAmazonで考えてみましょう。

 

AmazonKindle電子書籍を購入したとします。

電子書籍はただのデータなので売り上げは、印税を除きほぼ100%利益になります。

 

100冊売ろうが一万冊売ろうがコストは同じです。

データなので在庫を抱える心配もありません。

 

しかも、ネット販売なので購入プロセスは完全自動化されています。

 

もし、これを本として販売しようとした場合、

本を出版するためのコストがかかります。

 

1冊あたり100円のコストだとしたら、

100冊売れば1万円、1万冊売れば100万円のコストがかかります。

 

しかも、売れなければ最悪の場合在庫を抱えるリスクもあります。

 

販売方法も本屋での販売が中心となるため、

購入プロセスに人件費がかかります。

 

いかにネットを中心とした販売がすごいかわかると思います。

 

GAFAはすべてこのような仕組みを構築しています。

AppleiPhoneなどのデバイス販売もしていますが、

収入源の中心はiTunesなどのデータ販売です)

 

これだけ利益率が高くコストがかからないビジネスに、

旧来型のビジネスが太刀打ちできるわけがありません。

 

旅行業に話を戻します。

 

かつては旅行の予約はすべて手作業で行われていました。

電話なり窓口なりで受けた依頼を担当スタッフが処理していたのです。

 

でも、インターネットはそのプロセスがすべて自動化されています。

 

しかも24時間365日営業です

 

今TVCMしている旅行業関係の会社はネット販売がメインの会社ですよね?

 

ExpediaとかSkyscannerとかトリバゴとか。

 

CM(広告)を出してる=儲かっているということです。

 

これらの会社は業界では超後発組です。

にもかかわらずここまで躍進したのはネット販売をメインにしているからでしょう。

 

極端な話、インターネットを使えば自宅からでもビジネスができるわけです。

 

個人レベルのビジネスであればオフィスを持つ必要もなく、

人件費もかからないので維持費はほぼゼロです。

 

顧客層の変化

旅行業界のメイン顧客層は仕事をリタイアした年代の人々です。

 

僕が現役で添乗員として働いていたときも、

お客さんの9割は60代以上でした。

 

この顧客層は旧来の旅行業が全盛だった時代の人々です。

 

ネットを使わず手配もすべて業者に丸投げ。

海外に行くときはもっぱらパッケージツアー。

 

しかし、彼らも徐々に高齢化し旅行に行く機会が減ります。

 

人口減少が深刻な問題になっていますが、

この層に固執し続ける限り、どんどんマーケットは小さくなっていくことになります。

 

今50代、60代の人はまだいいですが、

現在40代、30代の人々は完全なネット世代です。

 

そして、自由度の低いパッケージツアーは彼らのニーズにはそぐわないのです。

 

僕がカナダのランドオペレーターで働いていたときも、

パッケージツアーで来るお客さんの9割が年配層だったのに対し、

20代、30代の顧客はほぼ個人旅行でした。

 

若者が少ないからパッケージツアーが高齢化しているのではないのです。

 

若者も一定数カナダに来てます。

でも、パッケージツアーではなく個人旅行を選択しているのです。

 

個人旅行はカスタマイズがある程度可能なので、

自分の好きなようにスケジュールを組むことができます。

 

パッケージツアーは宿泊食事観光などがすべて含まれているのがウリです。

 

それが年配層のニーズに合致していたのですが、

若者層にとってはむしろそれがデメリットになるのです。

 

でも、相変わらずパッケージツアーが主流なので、

個人旅行にシフトする会社は少なかったです。

 

 

リピーターが少ない

これは旅行を販売する側ではなく手配する側の話ですが、

リピーターが少ないというのもこの業界の将来性が低い要因の一つです。

 

少なくともカナダは。

 

今から15年ぐらい前は、現在の10倍近くのお客さんが来ていたそうです。

 

僕が働いていたときもそれなりに業績はよかったですが、

今後マーケットが10倍に増える兆しはまったくありませんでした。

 

現状維持ならOK。前年より業績がよければラッキーといった感じで、

同業者の間にも「お客さんがこれ以上減ったらどうしよう」という恐怖が常にあったように思います。

 

あなた自身に置き換えて考えて欲しいのですが、

一度行ったことがある国にもう一度行こうと思いますか?

 

よほど気に入った国なら別ですが、

他にもたくさんの旅行先の選択肢がある中で

あえて行ったことがある国を選択することはまれでしょう。

 

可能性があるとすれば旅行費用が安価な場合です。

アジア方面やハワイなどは比較的安価なのでリピートしやすいです。

 

でもカナダ旅行は決して安くありません。

 

何が言いたいかと言うと、

大多数のお客さんはリピートしないということです。

 

お客さんがリピートしないビジネスモデルは非常に脆弱です。

常に新規顧客の開拓をしないといけないからです。

 

クレーマーに弱い国日本

旅行業は無形商品のためクレームが多いです。

「思ってたんと違う」みたいなことが良く起こるからです。

 

物販ビジネスと大きく違う点は旅行商品は生き物だということです。

 

テレビを例に例えるなら、同じ機種を購入した顧客にはすべて同じ商品が提供されます。

 

同じものを購入したのに、AさんとBさんで中身が違うなんてことはありえません。

 

でも、旅行商品は違います。

 

同じツアーを購入しても天候や交通状況によって旅行の中身は全く変わります。

 

フライトがキャンセルになったり、

不測の事態で観光ができなかったり。

 

まったく同じ商品が提供されるということはありません。

 

特に海外旅行はトラブルも起こりやすいです。

 

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トラブルならまだいいのですが、

明らかにいいがかりのようなクレームを言ってくる人もいます。

 

日本には「お客様は神様」という文化がいまだに残っています。

 

どう考えても理不尽としか思えないようなお客さんの要求にも真摯に対応しなければなりません。

 

ちなみに僕がバンフの観光施設(アメリカ企業)で働いていたとき、

ルールを守らないお客さんをマネージャーが説教していました。

 

それが普通です。

 

一人のクレーマーを相手にすることによって、

その他大勢のお客さんに迷惑がかかるからです。

 

クレーマーがその他の人々に直接迷惑をかけることがなかったとしても、

その対応に時間を取られたりスタッフが疲弊するなどのコストがかかります。

 

間接的に他のお客さんに迷惑をかけることになるのです。

 

ビジネスとは価値の交換であり、売り手と買い手の立場は対等です。

 

「お金を払えば何を言っても許される」という風潮は異常としか思えません。

 

先日見たとあるニュースでは、

電車内に掲げられた成功者の名言を見て「不快だ」という声があったらしく、

掲載を取りやめたそうです。

 

「除夜の鐘がうるさい」とか「幼稚園が近所にあると迷惑だ」と言われ、

自粛するお寺や園もあるみたいですね。

 

からしたら「そっち(の意見)に合わせたらダメだろ」と思います。

 

クレーマーに侵食されていく日本の将来を心配せずにはいられません。

 

僕が旅行業を離れた理由も、

そういう理不尽なお客さんの相手をすることに疲れたからです。

 

まとめ

ネガティブなことばかりを述べてきましたが、

旅行業はお客さんの人生の思い出作りのお手伝いをする尊い仕事です。

 

たった1回の旅行がその人の人生を変えることもあります。

 

だから業界で働く人々も誇りを持ってほしいと思います。

 

自分が長年お世話になった業界だからこそ、

これからも発展してほしいと思うし、

そこで働く人々が幸せを感じられるような環境を作ってほしいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。