海外移住を考えている人にとって、一番大きな問題が「ビザ」の問題です。
よほどの大富豪でないかぎり、現地で何かしらの就労をしなければ生活ができません。
とはいえ、ビザを取得するためにはある程度の経験や実績が必要になります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
もしあなたが海外就職に活かせそうな経験やスキルを持っていない場合、仕事を見つけるのは不可能かというと、そういうわけでもありません。
今日は未経験の人でも応募可能な職種、「ランドオペレーター」について解説します。
旅行業に興味のある人はこちらの記事もご覧ください。
- ランドオペレーターとは
- なぜランドオペレーターが必要なのか
- ランドオペレーターが直接旅行を販売すればいいのでは?
- 海外就職おすすめ求人 ランドオペレーターは未経験OK
- ランドオペレーターになるには?
- まとめ
ランドオペレーターとは
おそらく大半の方はランドオペレーターという用語を聞いたことがないと思います。
ランドオペレーターはツアーオペレーターともいい、旅行業のお仕事になります。
ランドオペレーターの主な仕事は「日本から来る観光客の人の現地手配と現地でのカスタマーサービス」です。
大手旅行会社の中には海外の国々に現地法人を持っている会社もあります。しかし、皆さんが知っているような名の知れた旅行会社でも、海外法人を持っていない会社もあります。
大手旅行会社も送客数の少ないディスティネーション(方面)などは、採算が取れないなどの事情で現地法人を持っていないことがほとんどです。
ランドオペレーターの仕組み
例えば皆さんが超大手旅行会社A社である国へ旅行へ行ったとします。
皆さんはホテルやレストラン、バスなどすべての手配はA社がしていると思っていますが、実際は違います。
例えばあなたがレストランの人に予約を確認するときに、「A社で予約しているんですが・・・」といっても通じないことが多いです。
なぜなら、実際に手配しているのはA社ではなく、A社に委託されたランドオペレーターだからです。
つまり、レストラン側はランドオペレーターの名前で予約を取っているため、A社の名前を伝えても話がかみ合わないということです。
また、あなたが現地で何かしらのトラブルに巻き込まれたとします。
あなたは現地の緊急連絡先に電話をします。
そのときあなたがしゃべっているのはA社の人間ではなく、ランドオペレーターの人間です。
現地手配先が知りたい場合は、旅行出発前に送られてくる日程表に「現地手配先」という項目があるので、そこを確認すればどの会社が手配とカスタマーサービスを担当しているのかがわかります。
なぜランドオペレーターが必要なのか
「大手旅行会社ならランドオペレーターなど利用せず、直接手配すればいいのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
日本の国内旅行は旅行会社自身が直接手配依頼をすることがほとんどです。
しかし、日本から海外のホテルやレストラン、バスなどを手配しようと思うと言葉の問題や時差に問題があるだけではなく、取引先との支払いの問題も発生します。
そして現地で何かあった場合、お客さんをケアできる人材もいません。
そのため、旅行会社は現地のランドオペレーターを利用するのです。
旅行会社がランドオペレーターを利用する理由
海外に現地法人がある旅行会社であっても、自社の現地法人ではなく現地の日系ランドオペレーターを利用することがあります。
例えばアポロツアーズという現地手配会社(ランドオペレーター)があったとします。
基本的にランドオペレーターというのは、日本にセールスオフィスがあるので旅行会社の人間は現地と直接やりとりをするのではなく、日本のオフィスの人間とやりとりをして、ランドの日本オフィスと現地オフィスがやりとりをするという流れになります。
大手旅行会社Aトラベルはカナダに現地法人(自社専門の手配会社)を持っていたとします。
この場合Aトラベルはカナダの旅行手配を100%自社の現地法人に手配依頼するわけではありません。
状況によりアポロツアーズを利用することもあるのです。
なぜなら、アポロツアーズのほうが現地の業者とつながりが強かったり、より低価格で仕入れをすることができることがあるからです。
A社の現地法人は自社のお客さんしか送客できません。
仮にその総数が100だったとします。
しかし、アポロツアーズはいろんな会社と取引があります。A社の送客100のうち10を委託されたとしても、B社から50、C社から80のような形で、トータルで見ると大手旅行会社Aトラベルの送客数よりも多くなることがあります。
そのため現地の仕入れ業者に対しても、より好条件な料金交渉をすることができるのです。
自社の現地法人だけでは競争力が弱いのです。
実際に大手の旅行会社も国によっては、自社の現地法人が採算をとることができずオフィス閉鎖・撤退ということがよくあります。
旅行会社が海外支店を持つ理由
ではなぜ、大手旅行会社はリスクを冒してまで海外に自社支店を作るのか?
一つはブランド力の問題です。
現地で何かあったときに、下請けの会社が対応するのと自社の海外支店が対応するのではお客さんからの信用度が全然違います。
実際下請けの会社だからダメということは絶対にありませんが、お客さんの立場からするとやはりイメージが良くないのです。
もう一つはランドの日本のセールスオフィスを経由する必要がなくなるということです。
さきほど説明しましたが、旅行会社は現地手配をするにあたり、直接現地のランドオペレーターに連絡するのではなく、ランドオペレーターの日本のセールスオフィスとやりとりをします。
その場合当然ランドの日本のセールスオフィスのコストも余分にかかってしまうことになります。
自社の海外支店であれば、そのセールスオフィスを経由する必要がないため、コストを抑えることができたり、直接連絡できることでよりスムーズに情報交換ができるというメリットがあります。
ランドオペレーターが直接旅行を販売すればいいのでは?
「自分で旅行が手配できるのなら、
ランドオペレーターが直接旅行を販売すればいいのでは?」
このように思った人もいるかもしれません。
確かに物理的にはできますが、ランドオペレーターが直販をしないのには理由があります。
①旅行業登録をしていないから
お客さんに旅行商品を直販する場合は旅行業登録をする必要があります。
旅行業登録には第1種から第3種まであり、
業務形態や会社の規模によって登録するカテゴリが異なります。
ランドオペレーターは基本的に卸売りなので、
旅行業登録をしていない会社が多いです。
そのため旅行商品を直販することができません。
②集客力が弱いから
業界に精通している人間でない限り、
ランドオペレーターの会社名を聞いてピンとくる人はいないと思います。
そういうマイナーな存在が旅行商品を販売したところで、
集客できる人数はたかが知れています。
旅行会社の手配代行という立ち位置をとれば、
名の売れた旅行会社が代わりに集客をしてくれます。
今はインターネットが普及しているのでネット販売をするランドもありますが、
効率を考えると旅行会社に集客をしてもらったほうがいいわけです。
海外就職おすすめ求人 ランドオペレーターは未経験OK
前置きが長くなりましたが、要するに現地で旅行手配やカスタマーサービスを担当する会社がランドオペレーターだと思っておいてください。
海外就職サイトの求人を見ると、このランドオペレーターの仕事が結構見つかります。
旅行手配の仕事と聞くと、「旅行業の経験が必要なのではないか?」と思う人も多いと思いますが、実は違います。
確かに業界経験があるに越したことはありませんが、ランドオペレーターの仕事は未経験でもできます。
ランドオペレーターに求められる資質
なぜならランドオペレーターに求められる資質は知識よりも、「正確性」や「カスタマーサービスのスキル」だからです。
上のレベルになると「頭の回転の速さ」や「先読み能力」も求められますが、それはまた後日説明します。
言葉に関しても、英語力よりは丁寧な日本語を使えるかどうかが重要視されることが多いです。
旅行業経験者というのは日本でお客さんに旅行を販売している人がほとんどです。
彼らの仕事はセールスであって、手配業務ではありません。
実際は自分が取ってきた仕事を、手配担当部署に丸投げすることが多いです。
つまり彼らは手配業務に関しての経験は少ないのです。
ランドオペレーターで最も必要な資質は「正確性」です。
例えばホテルの手配予約の日付が1日ずれていただけで、大問題になります。
バスの配車時間が1時間間違っていただけで大クレームになります。
レストランの手配メニューが間違っていたら、契約違反になることがあります。
ランドオペレーターはミスが許されない仕事です。
たった1件、ほんのささいなミスをしてしまっただけで、それが大クレームに発展してしまうからです。
ランドオペレーターの仕事は手配業務と言いましたが、厳密に言うと「確認作業」です。
僕がベトナムで働いていた会社は、1日に100人以上の個人のお客さんをハンドリングしていました。
手配自体はベトナム人のスタッフが担当しており、日本人スタッフは朝から晩までひたすらその手配内容の確認をしながら、現地で起こるトラブルの対応に追われていました。
特に日本人と違って海外の人はいい意味でも悪い意味でも適当で、無責任です。
完全に信頼してしまうととんでもないことになります。
だから予約もダブルチェック、トリプルチェックをして確認する必要があるのです。
英語力は必要か?
国によります。
そしてなくても問題ないですが、自分が苦労します。
例えばベトナムの場合、手配業務はベトナム人スタッフが担当していました。
ベトナム人スタッフは日本語を話す人か英語しか話せない人のどちらかです。
社内のコミュニケーションは日本語のみで大丈夫な場合もありますが、営業時間外に業者とやり取りする場合は直接コミュニケーションをとる必要があります。
当然ベトナム語は話せないので英語で話す必要があります。
シンガポールの場合は、自分で直接手配する場合とローカルスタッフが手配する場合と分かれていました。
自分で直接手配をするほうがスムーズだし、安心なので自分としてはありがたかったです。
自分で手配する場合、当たり前ですが英語力は必要になります。
特にオーガナイズものと言われるカスタマイズ型旅行は、細かいリクエスト(レストランのテーブルにフリルをつけろとか、サンドウィッチは自分で作るパターンにしたいなど)が来るので、かなり高度な英語を使いこなす必要があります。
カナダのランドオペレーターでは現地スタッフが存在しないため、すべて自分で手配する必要があります。
そのため、英語レベルはそれなりに高くないといけません。
ちなみにベトナム時代に働いていた日本人の同僚は、辞めるまでの期間一言も英語を話しませんでした(日本からの駐在員)。
カナダで働いたある会社では手配業務をするにあたり、電話で話すことはほとんどなく、基本的にEメールだけで手配をしている会社もありました。
これは日本人特有の「読み書きはできるけど、会話が苦手」というのが根底にあるからです。
以上のことからもわかるように、英語力は必須ではありませんがあったほうが絶対に良いと言えます。
ランドオペレーターになるには?
ランドオペレーターというのは、一般的な旅行会社と違い求人サイト等に露出することが少ないです。
ランドオペレーターの求人見つけるにはOTOA(オトア)のサイトを見るのが一番いいです。
OTOAとは日本海外ツアーオペレーター協会のことで、簡単にいうとランドオペレーター各社を統括する組織のことです。
この公式ウェブサイトにランドオペレーターの求人が出ています。
ちなみに僕がカナダに来るきっかけになったのも、このOTOAのサイトでカナダの求人を見つけたからです。
まとめ
長くなってしまうので、ランドオペレーターのメリット・デメリットなどについては後日記事を作成したいと思います。
今日の内容をまとめると以下のようになります。
- ランドオペレーターは未経験でも応募可能。
- 英語力は必須ではないがあると好ましい。
- 仕事が正確な人、カスタマーサービス能力の高い人が求められる
「海外就職したいけど、自分にはスキルも経験もない」と諦めかけていた人は、この記事を読んでもらって、希望を持つきっかけにしてもらえると嬉しいです。
こちらの記事もご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。