学校教育における英語や市販の英語学習本などでは、実際に会話シーンで使われていない表現や、間違ったニュアンスで紹介されている英語文などが紹介されていることがあります。
例えば実際の会話シーンで使われていない代表的な表現に「How do you do?」などがあります。
ひょっとしたらイギリス英語ではこのような表現が使われているのかもしれませんが、少なくともアメリカ英語を話す人でこの挨拶を使っている人をいまだかつて一人も見たことがありません。
にもかかわらずいまだにこの表現は学校教育における英語授業などで紹介されています。
そして間違ったニュアンスで使われている表現の代表例に以下のようなものがあります。
英語表現の誤認識が生まれた経緯に対する考察
なぜこのように間違ったニュアンスの表現が紹介されたり、実際の会話シーンで使われることのない英語文などが本に載っているかという理由について、自分なりに考えてみました。
昔は英語の知識がある人というのは一部の知識人だけでした。おそらく英語の本を執筆していたのも英語を学問として研究している大学教授などに限られていたはずです。
しかし彼らが学んでいる英語は語学としての英語であり、実社会で使われている英語ではありません。
そんな彼らが英語の教科書などを作成したために、このような誤った認識が生まれたのではないかと思います。
英語教師の夏目漱石が、留学先でまったく英語を話せなかったのは有名なエピソードですね。
最近はインターネットの発達や国際化が進んだおかげで、正しい表現を学ぶことができるようになりましたが、教育現場においてはいまだにこの傾向が色濃く残っているように思います。
「いらっしゃいませ」は英語で何という?
「いらっしゃいませ」の英語訳はMay I help you?であると習った人は多いと思います。
試しにインターネットで「いらっしゃいませ・英語」で検索してみました。
検索上位2ページの中にも「いらっしゃいませ=May I help you?」と紹介しているサイトが見つかりました。
ちなみに余談ですが、ネイティブはHow may I help you?を好んで使います。
ほかにはいらっしゃいませ=Welcomeと紹介されているサイトもあります。
May I help you?やWelcomeも間違いではありませんが、実際の会話シーンでこれらの表現が「いらっしゃいませ」として使われることはほとんどありません。
May I help you?は「何かお困りですか?/何かお探しですか?/何かお手伝いできますか?」というニュアンスなので入店して開口一番に使うのは不自然です。
ウォルマートの店内アナウンスで「Welcome to Walmart!」と言うのは聞きますが、店員さんがお客さんにWelcome!と言っていることは聞いたことがありません。
では、「いらっしゃいませ」は英語で何というかというと、僕自身は以下の表現のいずれかではないかと思います。
Hello.
Good morning/Good afternoon
How are you (doing)?
ちなみに僕が観光施設でアトラクションのチケットを販売する仕事をしていたときは、How's it going?を使っていました。
この表現はカジュアルなイメージがありましたが、ネイティブの同僚がよく使っていたので僕も真似していました。
日本語脳からの脱却
「いらっしゃいませ」のように英語には存在しない表現が日本語にはたくさんあります。
「いってらっしゃい」、「おかえり」、「いただきます」などが代表的なものです。
これらの存在を無理やり英語に訳そうとするから不自然な表現が生まれてしまうのです。
このように、日本語をなんでもかんでも英語に訳そうとする状態を「日本語脳」と呼びます。
大切なことは「訳す」ことではなく、「伝える」ことです。
Helloという表現は訳すという観点だと「こんにちは」ですが、伝えるという視点から見れば「いらっしゃいませ」ととらえることもできます。
日本語脳で考える癖がついていると、この変換ができません。
なぜなら日本語脳は日本語を英訳する思考回路であるため、Helloをどう頑張って英訳しても「いらっしゃいませ」にならないからです。
日本語脳から脱却するためには、「訳す」意識から「伝える」意識を持つようにしてみてください。
訳す意識だといらっしゃいませ=May I help you?というように答えは1つになってしまいますが、「伝える」という意識だと答えは無数に存在します。
言語はコミュニケーションツールですから、言いたいことが伝われば、言い回し自体はそれほど重要ではありません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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