30年前には世界1位だった日本の国際競争力は30位まで下落。
外国人を対象に行った「駐在員が住みたい国ランキング」では、
33か国中32位と不本意な結果に終わっています。
これらの指標が今後改善される見込みも薄く、
今後ますます負の連鎖が加速するものと思われます。
日本は世界でもトップクラスに便利で暮らしやすい国です。
しかし、このランキングからもわかるように
「便利だからといって住みたいということにはならない」、
ということが言えると思います。
僕が海外で暮らすようになったのも、
閉鎖的で保守的な日本人的思想が合わなかったのが大きな理由の一つです。
海外で暮らすようになってからは本当にストレスが減りました。
(別の意味でのストレスはありますが...)
日本に一時帰国したときに感じる閉塞感と許容力の低さ。
赤ちゃんが泣いているだけで舌打ちをしたり、
「黙らせろ」と大声を上げるのは日本人くらいです。
店員やタクシー運転手に横柄な態度をとって、
暴言を浴びせるのも日本人くらいです。
レジ袋を有料化してグローバルスタンダードを目指す前に、
そういう考え方を変えるほうが先だと思います。
海外のニュースに対するネットの書き込みを見ると、
「日本人は民度が高い」という書き込みを未だに見かけますが、
様々な国の人々に長年接してきた経験を踏まえても、
日本人の民度が高いとは決して思えません。
日本はなぜここまで国際競争力が落ちて、
人々の心が貧しくなってしまったのでしょうか?
日本の心が貧しくなった理由
一番の原因は、「時代が変化しているのに自分たちが変化しようとしなかった」ことです。
僕たちが子供のころはまだ教師による鉄拳制裁が日常的でしたが、
あれって完全に軍事教育の名残だと思います。
言うことを聞かない人間を暴力で服従させる。
体育会系マインドを美化し年長者が絶対的に偉いと洗脳する。
いつの時代でも革新をもたらすのは若者です。
年を取ればとるほど人間は変化を嫌うものです。
新しいことを始めようとすると、
必死になってそれを阻止しようとします。
変化を良しとしない人々が長年権力を持ち続けたことで、
時代の変化についていくことができなくなりました。
日本ではいじめ問題が深刻化していますが、
その原因は大人にあると僕は考えています。
普段会社でパワハラという名のいじめをしているのだから、
そういう大人に育てられた子供がいじめをするのは当たり前です。
横並び思想こそが正義とされ、
そこから逸脱した人間は激しく非難される。
変わり者やひねくれものにとってはとても暮らしづらい国です。
「すべき」、「ねばならない」のルールにガチガチに縛られ、
他人に対する寛容性も極めて低いです。
減点主義で子供のころから数多くの否定を受けて育った子どもは、
自尊心を感じることができないまま大人になります。
そして、他人を否定することで自尊心を満たそうとします。
否定の言葉ばかり浴びせられたら心が擦れるのは当たり前です。
日本の国際競争力が落ちた理由
まず一つ考えられる理由は、景気が良かったころに日本の内需だけでビジネスが成立していたことです。
企業は外国人を相手にビジネスをする必要がなく、
日本人だけを相手にしていれば十分にやっていけました。
その後日本の景気が悪化し、もはや日本人だけを相手にするビジネススタイルは限界を迎えつつあり、外国人をターゲットにせざるを得なくなりました。
しかし、今まで日本人しか相手にしたことがなかったので、
外国人との正しい付き合い方がわかりません。
僕は海外3か国の旅行会社で働いていましたが、
どこの国も日本人への視線は冷ややかでした。
大してお金をもっていない(今は中国人の方が裕福)のに、
理不尽な要求や無理難題ばかりを押し付けてくるからです。
義理人情を重んじる日本国内であれば「なんとかしろ」がまかり通りますが、
ビジネスライクな海外はそんな理屈は通用しないのです。
「日本だったらあり得ない」と言われても、
海外なのだから日本の考え方が受け入れられないのは仕方のないことです。
そして、日本の経済が衰退した一番の理由は「お客様は神様思想」だと思います。
お客であるというだけで自分は絶対的に偉いと勘違いし、
すべて自分の思い通りになると思い込んでいます。
ちなみに、お客様は神様という言葉は提供者側が使う言葉であって、
客の立場の人間が使う言葉ではありません。
そういうお客は相手にしないのが一番なのですが、
この「お客様は神様思想」によって相手にせざるを得ない状況になってしまいました。
日本は道徳的思想が美徳とされているので、
(お金を払わない)お客ですらない人の理不尽なクレームにまで真摯に対応しなければなりません。
そして、従業員の心はどんどん疲弊していくわけです。
この世界には2:8の法則が働いています。
これは「パレートの法則」と呼ばれることもあります。
ビジネスに当てはめて考えるなら、
「8割の利益は2割の優良顧客によって作られている」
ということが言えます。
そして、
「8割の不利益は2割の嫌な客によってもたらされる」
と言うことも言えます。
「お客様は神様思想」によって嫌な客を相手にしすぎるあまり、
本当に大切にすべき優良顧客のケアがおろそかになってしまい、
結果として不利益ばかりが増えてしまったわけです。
未だにこの思想をもった企業は多いですが、
その考え方を捨てないと今後ますます経済は縮小していくでしょう。
最後に
冒頭のランキングの中に「賃金」、「労働時間」、「子育て」がすべて低水準というデーターがあります。
今日本を動かしている人々はこの屈辱的な結果を自覚して、
少しずつ日本をよい方向に変えていってほしいと思います。
ちなみにとあるSNSで「旦那が1週間育休とったら要職を外された」という書き込みを見ました。
育児休暇は労働者の権利であるにもかかわらず、
未だにそういう考えを持っている人がいるのが残念ですね。
ちなみにカナダは男性が半年だろうが1年だろうが育休をとっても咎められることはありません。
育児休暇は労働者の権利なのだから
もしそれで不当な扱いを受けたら、
会社を訴えればいいんです。
「日本がダメで海外が絶対的に良い」とは思っていませんが、
日本の中にいると自国を客観的に見ることができなくなります。
僕たちのような海外在住者が外側から日本の現状を伝えることで、
少しでも日本が良い国になっていったらいいなと思います。