日本ではゴールデンウィークが始まりましたね。
大型連休には海外旅行に行かれる方もたくさんいらっしゃると思います。
僕は4か国に渡り約15年間旅行業に携わり、たくさんの方の旅行のお手伝いをしてきました。
今は業界から離れています。そして今後も戻ることはないと思います。
今日は日本人に伝えたい海外旅行の心構えのお話になります。
日本との違いを楽しむ
それぞれの国によって、文化や風習、常識などは異なります。
「郷に入っては郷に従え」という言葉がありますが、その違いを楽しむのも海外旅行の醍醐味の一つです。
「日本ではありえない」とわめくひとがいますが、せっかくの楽しい旅行をつまらないことで気分を害してしまったらもったいないです。
日本の常識が通じず、うまくいかないこともたくさんあります。
それをネガティブに捉えるのではなく、いかに楽しむかが大切になります。
日本に来た外国人が、「自分の国ではこんなことありえない!」とわめき出したらどう思いますか?
「ここは日本だからあなたの国の常識とは違う」と思いますよね。それと同じことをやってしまう人がたくさんいます。
こんなお客さんがいました。
海外ではクレジットカードをチェックインの時に提示するのがルール(常識)です。
もちろん部屋にダメージ等がなければ、デポジットはチェックアウト時にキャンセルされますので、支払いは発生しません。
でもあるお客さんはクレジットカードを提出するなんてありえないとロビーで暴れだしました。「自分は日本中のホテルに泊まったことがあるがこんなことは初めてだ!」と言っていました。
日本の常識は世界の非常識といいますが、これなんかもその例の一つです。
日本のホテルがどちらかというと特殊です。今は日本も世界のスタンダードに合わせはじめていると思いますが。
この一件に関しては旅行会社側には何の落ち度もないのですが、「謝りに来い」と意味不明な要求をされ、ロビーで暫く怒鳴られました。
自己責任が当たり前
日本に一時帰国するときにいつも感じることがあります。
「日本は本当に何から何まで世話が手厚い」ということです。
電車にのれば「傘を忘れないように」とアナウンスがあります。
すごく親切でいいことなのですが、これが日本人の自立性を失わせています。
海外では自己責任が当たり前です。自分の身は自分で守ること。
日本のように手取り足取り丁寧に説明してくれることはありません。
日本で電車に乗っていた時、おばさん2人がおしゃべりに夢中になっていました。
その後乗り過ごしたことに気づきました。
そしておばさんたちはこういったのです。
「駅名のアナウンスがなかった」と。
アナウンスはしっかりしていました。ただ自分たちが聞いていなかっただけです。
自立性が失われると責任を人に押し付けやすくなります。
こんなお客さんがいました。
乗馬のオプショナルツアーの申し込みがあり、アクティビティの開始15分前までにはチェックインをする旨を伝えました。
その後乗馬の会社から連絡があり、お客さんが時間になっても現れないので予約をキャンセルしたと報告を受けました。
そしてお客さんから怒りの電話があり、「自分たちは1分しか遅刻していない。キャンセルになるのはおかしい。返金しろ」という要求がありました。
乗馬の会社からすると遅刻したお客さんに落ち度があるわけだから、お金を返す義務がないわけです。
旅行会社としては乗馬の会社から返金があれば、もちろんその分を返金できるのですが、今回のようにお客さん側の事情による予約取り消しであれば返金したくてもできません。
結局「誠意を見せろ」と怒鳴られ、らちがあかないので旅行会社側の持ち出しで乗馬代金を返金しました。
ゴネたらなんとかしてもらえるわけではない
日本だと何か不具合があった場合、ゴネたら何とかしてくれることが多いです。
ですが海外では業者側に落ち度がない場合は、ゴネたからといって何かをしてくれるわけではありません(一部日系ホテルを除く)。
一番よくあるのが、ツインベッドではなくダブルベッドの部屋に案内された場合です。
パンフレットにツインベッド確約をうたっているのであれば、ホテルもしくは旅行会社は対応する責任がありますが、確約されていない場合はホテル側はダブルベッドの部屋を提供しても、契約違反にはなりません。
海外では夫婦は普通ダブルベッドで寝るのが風習なので、カップルで宿泊する場合はホテル側が気を使ってダブルベッドの部屋をアサインすることがあります。
日本人がよく使うホテルはそういったことはまれですが、日本人のことを知らないホテルではこのようなことは比較的起こります。
バスタブも同じです。日本人はバスタブ付きのお風呂に入るのが普通ですが、西洋人はシャワーのみが普通なので、日本人にとってのバスタブの重要性を理解していないホテルもあります。
これも確約されていない限りはホテル側に責任はありません。
どんなにゴネても物理的に空室がないのであれば、対応はしてくれません。
ましてやホテル側からするとそれはクレームではなく、ただのわがままです。
旅行会社に言えばなんとかしてくれると誤解されることが多いですが、旅行会社でもどうしようもないことはたくさんあります。
揉めると逆効果
日本ではお客さんが業者よりも優位な立場にあります。
したがって、業者に対して理不尽なクレームを出しても対応してくれることが結構あります。
しかし海外では業者とお客さんは対等な立場です。
そして日本では同僚のしたミスも代わりに謝罪するのが普通です。スタッフは会社の一員でもあり、代表だからです。
この考えは集団主義が根底にあります。
しかし個人主義の海外では、同僚のミスは自分のミスではないという意識が強いです。
リザベーションスタッフのミスをフロントスタッフに怒鳴り散らしたところで、状況が好転する可能性は低いです。
彼らも人間ですから、自分に嫌な思いをさせる人間に協力しようとは思いません
だからそういう時は笑顔でフレンドリーに接して、彼らを味方にするのがコツです。
そうすると普段なら対応してくれないようなことも、特別扱いをしてくれたりすることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外ではトラブルに巻き込まれることも少なくありません。
でもその状況を楽しめるぐらいの度量がないと、せっかくの楽しい旅行が台無しになってしまいます。
僕もたくさんのトラブルを経験しました。
車両故障も頻繁にあるし、盗難、ひったくり、詐欺、深夜の緊急入院、荷物が行方不明、フライトキャンセル、行方不明などなど日常茶飯事です。3.11の地震で日本に帰国できなくなったお客さんの対応もありました。
深夜、早朝に電話がかかってきて、理不尽に怒鳴られたことも何度もあります。
(現地スタッフは緊急連絡用の携帯を自宅に持って帰る)。
僕も家族と休日を過ごしている時に電話がかかってきて、家族の予定をキャンセルしたことも何度もあります。
現地側のスタッフも全力を尽くしてサポートをしています。
それは皆さんの旅行を楽しい思い出にしてほしいという思いがあるからです。
だから自分から旅行を台無しにするような解釈の仕方はしてほしくないのです。
今日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。