ぼくはモノを捨てるのが下手。
「もったいないから捨てられない」というわけではなく、そのモノに宿る魂や思い出のことを想像すると手放せなくなってしまうのだ。
まるでそのモノたちが「捨てないで」と言ってるようで。
子供のころからそうだった。
ずっと家にあった家電とかがゴミ捨て場に置いてあるのを見つけると、「今までありがとうね」と声をかけにいったことも何度もある。
今でも思い出のこもった品を捨てるときは手を合わせる。
若い頃は特に家族から(買って)もらったものは特に捨てられなかった。
「お母さんが買ってくれた○○」
「おばあちゃんがプレゼントしてくれた○○」
その品には相手の気持ちがこもっているようで、手放すときは本当にためらってしまったものだ。
大人になって年を重ね、少しはドライに捨てられるようになったが、それでもその気質はまだまだ残っている。
今日掃除をしていたらゴミ箱から靴下が出てきた。

長男が小さかった頃に履いていたもの。
いらなくなったから捨てたんだと思う。
この靴下たちを捨てるとき、息子は何か思ったのだろうか?
彼がまだ幼かった頃、よく遊んでいたトミカ工場のおもちゃがボロボロになり、捨てることになった。
「最後にトミカ工場にばいばいしておいで」
とぼくが言うと、長男は大泣きしながら「ばいばい」と言っていた。
思わずぼくももらい泣き。
あの頃の純粋な気持ちはまだ彼の中に残っているのだろうか?
本来であれば、彼の弟(次男)に引き継がれるはずであった靴下たち。
悲しいけれど、今日でお別れを告げることにした。
だって、もういらないから...。
ありがとう、くつしたたち。