カナダで2人、僕と息子が歩く道

離婚してシングルファザーになった著者がカナダで息子を育てる生活日記

息子の涙と母親のぬくもり

息子の部屋を掃除していると、ゴミ箱にたくさんのティッシュ。

 

ぼくが見ていないだけで、彼も涙を流していた。

母親と弟と離れ離れになって悲しくないはずはない。

 

日本で最後に過ごした夜、妻と大喧嘩になったときのこと。

 

妻がヒステリーを起こしたのを見て、「あれはおかしい」と離婚の背中を押したのは息子だった。

 

言葉ははっきりと記憶していないが、「別れた方がいい」という旨のことを言っていた。

 

その時の彼はまるで、長い間秘めていた思いを吐き出したかのような言い方だった。

そしてその瞬間から父子の距離は一気に縮まった。

 

両親が険悪な様子をずっと見てきて、彼自身思う所があったのだろう。

 

12歳とはいえ、彼もまだ子供。

寂しい想いをするのは当然だ。

 

日本からわざわざ手荷物にして持って帰ってきたくまのぬいぐるみ。

 

長男がまだ赤ちゃんだった頃に買ったものだ。

 

たまに抱き着いて寝てることがある。

 

きっと母親のいない寂しさを埋めるために大事な存在なのだと思う。

一度彼を起こすときに動かしたら怒り出したことがある。

 

かさばるのを承知でこのぬいぐるみを持って帰ってくることにしたのは、母親のぬくもりを感じるためだったからなのかもしれない。

 

まだ暖かった頃の家族のぬくもりが残ったぬいぐるみだから。