日本人は英語が下手くそだと言われますが、
それは決して英語レベルが低いという意味ではありません。
英語に関する知識であれば、日本人はむしろ世界的にもレベルが高い部類だと思います。
大学受験の英語を思い返してもらえばわかると思いますが、
あそこまで難解な英語を理解できるのであれば、
英語能力はむしろ優れているといってもいいでしょう。
ではなぜ、大多数の日本人は英語が全くと言っていいほど喋れないのか?
それは「英語能力」と「英語を使いこなす能力」を同じものだと思っているからです。
この2つの概念を同じものとして考えてしまうと、
勉強しても勉強しても英会話が上手になることはありません。
日本人の日本語能力は高い
冒頭でお話ししたように日本人の英語能力は高いです。
日本の英語能力指数は47位ですが、もしTOEICの点数だけで英語能力指数を測るのであれば、日本の英語能力指数は世界トップレベルになっていたはずです。
受けたことありませんが、TOEICだって決して簡単な試験ではないはずです。
それで満点や高得点を取ることができる人がたくさんいるということは、
英語に関する知識が豊富にある人が多いということです。
「私はTOEIC満点です」とか「TOEIC900点代です」という人はよくいるのに、
「私は英語ペラペラです」という人はあまり見かけませんよね?
これも先ほどお伝えした「英語能力」と「英語を使いこなす能力」を混同していることが原因です。
多くの日本人は「英語能力」を磨けば英語が話せるようになると思っています。
しかし英会話に関して言えば、英語能力よりも英語を使いこなす能力のほうが重要なのです。
シンガポール人の英語能力
シンガポールは「英語能力指数」が世界で2位ですが、
彼らが正しい英語を使っているかといえば決してそんなことはありません。
文法もめちゃくちゃだし発音もひどいもんです。
英語が苦手な人にとっては聞き取りやすい英語ですが、
ネイティブスピーカーに近い人ほど聞き取りにくい発音をしています。
(シンガポールで出会った白人も「何言ってるかわからん」って言ってた)
もし正しい英語を話すことを「英語がうまい」と定義するならば、
シンガポール人より日本人のほうが英語がうまいと思います。
でも彼らは英語をペラペラ話します。
英語を使いこなす能力は抜群に高いんです。
日本では「英語=資格」とか「英語=勉強」といったイメージが先行しているので、
英語を学ぶことが目的化してしまっています。
しかし、英語は本来コミュニケーションの手段であって、
使わなければ何の価値もないわけです。
シンガポール人は英語を「コミュニケーションの手段」として考えています。
これには民族的背景も関係しています。
シンガポールは中華系、マレー系、インド系の人々から構成されており、
彼らは独自の言語を持つとともに民族間のコミュニケーションは英語でとっています。
つまり、英語が使えないと困るわけです。
だからこそ、英語を「使う」ことにフォーカスしていて、
正しい英語を話すことをそこまで重要視していません。
ネイティブスピーカーが使うようなレベルの高い言い回しをすると、
通じないこともあります。
お互いに最低限理解できるレベルの英語能力があれば、
それ以上に英語能力を磨く必要もないわけです。
知識はただの道具
知識はただの道具です。
知識は使うためにあるのであって、使わなければ何の役にも立ちません。
道具と同じですね。
どんなに立派な道具を持っていても、
どんなに道具がたくさんあったとしても、
使わなかったら何の意味もありません。
日本人は英語の知識を付けることばかりフォーカスしています。
つまり、道具を集めることばかり考えているということです。
道具を集めてもその使い方がわからなければ意味がありませんよね?
だから、英語を勉強しても勉強しても話せるようにならないんです。
「○○という表現を覚えたぞ!」
で、それをどうやって使うの?
こういうことです。
トンカチやスパナを持っていてもその使い方がわからなければ、
何の役にも立ちません。
先ほどシンガポール人は「英語を使いこなす能力が抜群に高い」と言いましたが、
彼らは道具そのものは豊富にもっていませんが、その使い方が天才的なのです。
スパナで釘を打ったり、ドライバーがないからネジをトンカチで強引に打ちつけたり(笑)。
使い方は間違ってるけど、本来の目的は達成されているわけです。
He don't want to go という文章は文法的に間違ってますが、
意味は普通に通じますよね?
I go to a shopping mall yesterday.という文章も誤りですよね?
でも意味は通じるはずです。
今ご紹介した2つの文章はシンガポール人が頻繁に使う、文法的に間違っている表現です。
もしこれが試験だったら0点ですが、コミュニケーションの手段としてなら100点です。
日本人は釘を打つときはトンカチでないといけないと思っているし、
ネジを埋め込むときはドライバーでないといけないと思っています。
でも、トンカチやドライバーの使い方がわからないので、
シンガポール人のように本来の目的(コミュニケーション)を達成することができないのです。
道具を上手に使いこなす方法
もしあなたがトンカチの使い方を知りたかったらどうしますか?
トンカチの使い方を知っている人に教えてもらいますよね?
もしくはトンカチを使っている人を観察するはずです。
英語も同じです。
日本人の多くの人は、トンカチを持っているけど使い方がわからない人に聞くからいつまでたっても使いこなすことができないんです。
そしてトンカチの数だけがどんどん増えていきます(笑)。
英語(トンカチ)の使い方を知っている、
もしくは英語(トンカチ)を使っている人って誰ですか?
ネイティブスピーカーです。
彼らが英語を使っているのを見て「あーやって使うんだー」と理解して初めて、
知識(道具)が役に立つのです。
トンカチを使いたければトンカチを上手に使っている人を見て、
「あーやって使うんだ」とみようみまねで少しずつ使えるようになります。
ここで注意が必要なことがあります。
トンカチを使っている人はたくさんいますが、
必ずしもその使い方が合っているとは限らないということです。
トンカチでネジを打ち付けている人を真似してしまうと、
間違った使い方を覚えてしまうということです。
シンガポール人から英語を吸収したら、
He don't want to goと言うようになってしまうような感じです。
だから、正しい英語を身につけたいのであれば、
正しい英語を使っている人から学ぶのが良いということです。
要するにネイティブスピーカーから学ぶ方がよいということです。
↓
まとめ
必ずしも英会話のレッスンを受ける必要はありませんが、
ネイティブスピーカーが英語を話しているのを見て、
「あーやって使うんだ」という経験をたくさんすることが英語上達の秘訣です。
今はYoutubeがあるので1円もお金を使わなくても、
ネイティブスピーカーが英語を使っているところを見ることができます。
学ぶの語源は真似ぶです。
言語というのは勉強するのではなく、真似るものです。
英語能力ばかりを磨いても英語が話せるようにはなりません。
英語が話せるようになるためには、
英語能力と英語を使いこなす能力の両方を身につけなければなりません。
「英語を使いこなす能力を磨く」=「英語が上手い人の真似をする」
ということです。
ぜひ英語を使いこなす能力を磨いてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。